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【記事】IT x 海外転職 「IT人材とシンガポール就労 」(2)

シリーズ第1回ではIT人材のシンガポール就労に関し、求人マーケット動向や転職メリットなどについてお伝えいたしましたが、第2回目となる今回は、「シンガポールIT 業界の職種と求められるスキル」と題し、各職種の特徴や必要なスキルについて解説いたします。

第2回 シンガポールIT 業界の職種と求められるスキル

1. 即戦力となる“専門性“

日本では、企業の採用方法として、大きく分けて「新卒採用」と「中途採用」の2つが一般的です。
「新卒採用」は、毎年同時期に一定数の人材を一斉に採用し、未経験から長期的に人材を育成して将来活躍してもらうことを目的とする採用であることは皆さまご周知のことと思います。ただ、これは日本独自の採用方法で、海外では日本の「新卒採用(一から人材を育成する)」という概念とは異なります。企業は人材が必要になったタイミングで随時募集や選考をしています。
シンガポールも、新卒という枠があるわけではなく(もちろん新卒者の採用がないわけではありませんが)、細かに業務内容と必要な経験や知識と資格が明確に提示され、入社後すぐに活躍できる人材が求められます。即戦力を求める企業が多く、通年採用を実施しています。
「人材がいて仕事を与える」という考えよりも、「仕事があり、そのために最適な人材を採用する」という考え方が根底にあるため、“何でもできます!”というアピールだけでは、企業側には、“この方は一体何ができる人なんだろう?”という印象を与えてしまうことになります。特にIT職種ではそれが顕著に見られ、より専門性の高いスキルを持つ人材が求められる傾向が高いです。
では実際にはどのような「専門性」がシンガポールでは求められるのでしょうか?
具体的な職種・ポジションを例に挙げて見ていきましょう。

2. 職種とキャリアパス

■IT営業関連の職種

《例1》 Business DevelopmentやHunter Sales(新規開拓営業、新事業立上げの営業)
 → 担当開拓マーケットに精通していることや開拓件数及び案件化数の実績が重視される。

《例2》 Account Manager(既存顧客アカウントを担当し様々なソリューションを提案)
 → こちらも担当業界や取扱うサービス・製品の種類に精通していることや売上実績が重視される。

《例3》 Pre-Sales
 → RFP(Request For Proposal)の対応等ソリューション提案時に技術的な部分の提案スキルが求められる。

《例4》 Customer Success, Technical Support → ポストセールスの経験が重視される。

■ITエンジニア関連の職種

日本との最も大きな違いは、いわゆるシステムエンジニア/SEという職はなく、【アプリ】か【インフラ】のどちらか(もしくは両方)の専門により細かく分類されていることです。

【アプリが専門の場合】
指定されたコーディング言語の経験はもちろん、シニア職ではSDLC(Software Development Life Cycle)へ精通していること、Agile開発手法、要件定義、設計、開発、リリースといった一連の業務を経験していることが重視される。Data ScientistやMachine Learning Engineerの場合は大学・大学院で専門分野を履修していることが条件になる場合が殆ど。
- Software Engineer (Back-end, Front-end, Full-stackと分かれている)
- iOS/Android Developer
- QA Engineer/Testing Engineer
- Data Scientist/Machine Learning Engineer

【インフラが専門の場合】
インフラ及びネットワークの設計・構築・実装ができることはもちろん、10~15年以上の経験を求められることが多く、Architect職ではシステム全体の設計・構築ができること、実務経験に加えAWS Solution Architectの資格保持者であることが条件となる場合が多い。
- Infrastructure Engineer
- Network Engineer
- Cyber Security Engineer
- Cloud Architect/Cloud Engineer
- Solution Architect

【アプリ・インフラ両方の部分的な経験が問われるもの】
新しい職種のため数自体は少ないものの、アプリ・インフラのどちらのバックグラウンドでもクラウド関連の技術(KubernetesやDockerなどのコンテナやオーケストレーション)とスクリプティング(Shell, JavaScript, Python等)が求められる。アプリとインフラのどちらの経験が重視されるかは企業によって様々。
- DevOps Engineer/SRE(Site Reliability Engineer)

■ITエンジニアのキャリアパスについて

アプリ、インフラのエンジニアをある程度経験したら、技術職としてキャリアアップするか、その経験を生かしてビジネス側へ移るかの選択肢があります。ビジネス側の職種としては大きく2つが挙げられます。

① Project Manager(Leader/Consultant) 
② Business Analyst 
- Project Managerは、SAPなどのERPシステム、金融機関向けシステム、製造業向けシステムの開発と導入、クラウド移行、サイバーセキュリティー等、経験分野に指定がある場合が多い印象です。
- Business Analystは聞きなれないかもしれませんが、エンドユーザー側の要望等をストーリーにして開発要件へ落とし込むこと等を業務とします。

職種別に考えられるキャリアパスの例
例1)アプリ人材が技術を極める
Software Engineer -> Technical Lead -> Engineering Manager

例2)アプリ/インフラ人材がビジネス寄りに進む
Software Engineer/Infrastructure Engineer -> Project Manager

例3)インフラ人材が技術を極める
Infrastructure Engineer -> Cloud Architect

このようにシンガポールのIT関連の職種は、専門性をベースに分業されております。
転職をお考えの際には、まず「自分の専門性や強みは何かを知ること」、そして「専門性に磨きをかけること」が重要になってくると思います。それがシンガポール転職を成功させる上で大きなポイントになると言えるでしょう。

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【開催レポート】IT業界 海外就職、転職希望者のためのオンラインセミナー · JAC Singapore (jac-recruitment.sg)

■シンガポールのITマーケット最新情報をお知りになりたい方はぜひ気軽にお問合せください。
弊社問い合わせメール先:Singapore@jac-recruitment.sg

■なお、本シリーズ第1回目は、シンガポールのIT求人マーケットの現状と動向についてお伝えいたしました。
詳しくは、ITx海外転職 ~IT人材とシンガポール就労~ (第1回)について|JAC Recruitment · JAC Singapore (jac-recruitment.sg) よりご覧ください。 ​