Connecting...

戻る
[Q&A]シンガポール雇用における基礎知識

【記事】シンガポール雇用Q&A (求人/雇用/解雇/ウォッチリストなど)

6月11日に開催されたシンガポール日本商工会議所主催の「シンガポール雇用における基礎知識」セミナーにて弊社代表のイルマスと松本が講師としてお話させていただきました。そのセミナー内で、お問合せいただいたご質問に関して回答いたします。

質問カテゴリー:
[MyCareerFuture.sg関連]
[就労ビザ関連]
[雇用に関して]
[解雇に関して]
[ウォッチリストに関して]

※新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた現在(2020年6月)の状況をご案内しています。

[MyCareerFuture.sg関連]
Q1. 当社は11名のオフィスです。新規で人材の採用を検討しておりますが、Employment Pass(*以下EPと表記)を申請するにあたり、MyCareersFuture.sg(旧Jobs Bank)に求人を掲載する必要はありますか。
A1. EPビザを申請する前に最低14日間、MyCareersFuture.sgに求人広告を掲載し、シンガポール人が応募できる機会を提供することが義務付けられております。
●従業員10名以上の企業かつ月額給与S$20,000未満のポジションの場合、掲載義務があります。
*2020年5月改定(S$15,000からS$20,000に変更されました)

Q2. 企業内転勤(Intra Corporate Transferee)の場合、MyCareersFuture.sgへの求人掲載は免除されると聞きましたが、その理解であっておりますでしょうか。
A2. 下記いずれかに該当する場合、基本的に掲載義務は免除されると言われておりますが、ケースバイケースの場合もあります。
求人広告の掲載免除要件を満たしている場合でも、シンガポール政府はMyCareersFuture.sgへの掲載を推奨しています。
*掲載義務が免除される場合の条件
●従業員10名未満の会社
●月額給与S$20,000以上のポジション
●1ヶ月未満の短期間で終了する職務
●企業内転勤での専門職または管理職の場合

詳細につきましては、MOM(Ministry of Manpower)へ相談することをお勧めします。
参照:https://www.mom.gov.sg/faq/fair-consideration-framework/can-a-job-be-exempted-from-the-advertising-requirement-if-it-will-be-filled-by-an-intra-corporate-transferee-ict

Q3. MyCareersFuture.sgに求人の掲載をし14日間経過しましたが、COVID-19の状況をもう少し見てから申請したいと思っています。掲載後何日以内にEPビザの申請をしないといけないでしょうか。
A3. MyCareersFuture.sg への求人掲載は、少なくとも14日間の掲載が必要です(~最長30日間掲載可能)。求人掲載終了後から3ヶ月以内にEP申請を行う必要があります。

Q4. 人材の採用を検討していますが、採用する方の経験により給与を決定しようと思っています。MyCareerFuture.sg に給与を掲載する際、S$4,000~7,000と幅を持たせて記載をしたいのですが可能でしょうか?
A4. MyCareerFuture.sgに掲載する給与の範囲内でEP申請を行う必要があります。給与の掲載範囲は広く設定しすぎず、1.5倍~2倍までが目安と言われています。

[就労ビザ関連]
Q1. COVID-19の状況下、シンガポール国外在住者の方でEPビザを承認されたケースはありますか?またリジェクトされた場合の理由を教えてください。
A1. Circuit Breaker期間中は、シンガポール国外在住者の場合、Essential Industryを除き、新規ビザ申請はすぐReject(却下)されたケースが多数ありました。Circuit Breakerが終了し、2週間が経過した現在、シンガポール国外在住者のビザが承認された事例もでてきております。

Q2. EPビザ申請にあたり、給与に関して質問です。月額固定給与額とは何が含まれますか。
A2. 月額固定給与とは、基本給与+固定手当を指します。
●固定手当には、食事手当や住宅手当など月によって変動しない定額の手当てが含まれます。
●月額固定給与に含まないものとして、残業手当、賞与、AWS(Annual Wage Supplement)、インセンティブや雇用主が負担する年金、CPF(中央積立基金)の拠出金等があります。

Q3. 入国緩和時期の見通しが立ち次第、従業員のEPビザを申請する予定です。日本とシンガポールの両国で給与を支給する予定です。EPビザ申請時は、シンガポールの給与がEP基準額を超えていないとだめでしょうか?それとも日本とシンガポールとを合算した給与額で申請することが可能でしょうか。
A3. シンガポール赴任後に支給される日本とシンガポールとを合算した月額給与でEPビザの申請が可能です。EPビザ申請時に給与額を入力する項目欄にLocal and overseasがあります。そちらを選択し、月額固定給与(基本給与+固定手当)を入力し申請ください。

Q4. 現在従業員のEPビザは承認されていますが、シンガポールへの入国規制がまだある今、IPAの有効期限が切れそうです。延長できると聞きましたが、どのような手続きが必要ですか。
A4. 延長の手続きは不要です。IPAが切れる場合、現在は通知なく、2か月間自動的に延長されます。
参照:https://www.mom.gov.sg/covid-19/advisory-for-employers-and-employees-travelling-to-and-from-affected-areas

Q5. 現在COVID-19の影響から、EPビザ申請から承認されるまで、どれぐらいの期間を要しますか。
A5.シンガポール在住者の方のEPビザ申請の場合、申請後即日(~2週間以内)承認されているケースもあります。またシンガポール国外在住者の方のEPビザもCircuit Breakerが終了した現在、申請から1週間ほどで承認されているケースも出始めました。
通常はEPビザの申請から承認まで2~3週間が一般的ですので、今後申請件数が増えると通常の期間に戻ることが予想されます。また今月よりEP申請システムの変更がありましたので、審査期間に多少の影響が出るかもしれません。

Q6. EPビザの基準が2020年5月1日より変更されましたが、現在EPを持っている従業員が2020年8月にEPの更新時期を迎えます。
その場合、新基準の給与額が適用されますか。それとも旧基準で問題ないでしょうか。
A6. 現在EPを保持している方のビザ更新に関しての新基準適用は来年2021年5月1日からとなります。

[雇用に関して]
Q1. COVID-19の影響で従業員の給与を下げざるえません。実際に給与を下げることは可能でしょうか。
A1. COVID-19の影響で先行きの見通しが立たない状況に直面している雇用主は、まずマネジメント層が見本となって賃金削減を実行することが推奨されています。賃金の削減は、シンガポール人従業員と外国人従業員に公平におこなう必要があります。

Q2. COVID-19の影響で従業員(EP保持者)の給与を一時的に減給する際、MOM(Ministry of Manpower)への報告は必要でしょうか。どのような手続きが必要ですか?
A2. 報告が必要です。従業員が10名以上の企業では、減給を行う際はMOMへの報告が義務化されています。COVID-19を理由に会社の業績悪化のため、一時的に従業員の給与を下げる場合は「Mandatory notifications on cost-saving measures」が適用され、 MOMへの申告の際には、減給開始月~完了月を申告します。 ※賃金の削減は、全ての従業員に公平におこなう必要があります。 

Q3. 既にEP保持者の給与額を新基準以下に減給する場合、問題はありますか。また減額する期間は未定です。 
A3. COVID-19に関わらず一時的な減額でない場合は、5月以前に取得したEPビザの場合も、新基準が適用されますのでご注意ください。従業員の給与を減給する場合、まずはSelf-Assessment Tool (SAT)で適正チェックをしていただき、EP取得対象であると結果がでましたら、EP Online にてMOMへ申告が必要です。 
参照:https://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/employment-pass/notify-mom-of-changes
  
Q4. シンガポールの雇用法(Employment Act)は、パートタイムの方も対象でしょうか。また有給休暇などは、フルタイムと同じ条件である必要がありますか。
A4. シンガポールの雇用法(Employment Act)は、雇用主と契約書を結んでいる全従業員が対象となります。
参照:https://www.mom.gov.sg/employment-practices/employment-act/amendments-to-the-act
パートタイムの方は、有給休暇などもフルタイムの方の就業時間(年)に対するパートタイムの就業時間(年)の割合に応じて付与するのが一般的です。

[解雇に関して]
Q1. COVID-19の影響を受け、従業員の整理解雇を実行する場合、何か手続きは必要でしょうか。
A1. 10人以上の従業員を雇用している会社で、6ヵ月の間に5名以上を整理解雇する場合、MOM(Ministry of Manpower)への報告が必要です。
参照:http://www.mom.gov.sg/employment-practices/retrenchment/mandatory-retrenchment-notifications

Q2. パフォーマンス不足を理由に解雇をする場合、注意すべき点や手順を教えてください。
A2. 急な解雇ではなく、まずはWarning Letter(警告書)をもって事前に通達を行い、パフォーマンスの改善を促す必要があります。
Warning Letter内にAcknowledgement(署名)欄を設け、従業員にも説明のうえ、署名をもうらうことをお勧めします。
その後も改善が見られない場合は、Termination Letter (解雇通知)と共に解雇を伝えます。
即日解雇を検討している場合は、原則Notice Period(通知期間)として定められた期間の給与を支払う必要があります。

Q3. 普通解雇(無理由の解雇)をする場合の留意点を教えてください。
A3. 無理由の解雇は、雇用契約に基づいた通知期間をもって、契約解除通知を出す事で解雇が可能です。もしくは、予告通知期間に代わる通知期間に相当する給与額を支払うことで解雇をすることが可能です。雇用契約上の解雇条項に添った手続きをする必要があります。

Q4. 従業員が契約違反(不正)を行ったため、懲戒解雇を検討していますが、どのように進めればよいでしょうか。
A4. 懲戒解雇は、従業員による雇用条件に明確な違反(不正や不当)があった場合、即時に解雇をすることができます。ただ、懲戒理由に関して適正な調査を実施しすること、従業員に弁明の機会を与える必要があります。

Q5. COVID-19の影響で、従業員を解雇する必要がありますが、解雇手当を支払う必要はありますか。
A5. 勤続2年以上の従業員に関しては、解雇手当の権利が発生します。
会社の経営状況にもよりますが、基本的に在籍年数×2週間~1ヵ月の給与分の解雇手当を支払うことが推奨されています。
なおunionised companiesの場合は、基本的に在籍年数×1か月の給与分の解雇手当を支払うことが推奨されています。
※いずれにしてもUnionと企業との話し合いにより決定する必要があります。
参照元:https://www.mom.gov.sg/employment-practices/retrenchment/responsible-retrenchment#:~:text=Amount%20of%20compensation&text=If%20there%20is%20no%20provision,financial%20position%20and%20the%20industry.

[ウォッチリストに関して]
Q1. 万が一、ウォッチリストに入った時のペナルティは、新たなビザ発給の停止・遅延以外に何かありますか。 
A1. ウォッチリストに挙げられた企業は、新たにEP申請の審査期間の長期化(3か月以上)、今後の改善策の提出などが必要となります。EPビザに関しては、新規申請のみならず、既存従業員のEPビザ更新にも影響が出る場合があります。まずはウォッチリストに挙げられないためにも「採用計画」「外国人とシンガポール人の従業員の比率」など、定期的に人事面の見直しをおこなうことをお勧めします。

Q2. 当社は10名以下の小規模の会社ですが、ウォッチリストに入ることもありますか。
A2. 原則全ての企業が対象となり、従業員数10名未満の企業様もウォッチリストの対象になっているケースもあります。


本記事に関する質問またその他お問合せがございましたら、singapore@jac-recruitment.sg までご連絡ください。
なお法律に関することなどは、別途専門家へご相談ください。
 
※免責事項※
本記事の内容は、弊社がMOMのサイトまた実体験などから得た情報を参考にし、作成した現時点(2020年6月12日)での内容となります。実際にMOMのサイトに掲載された内容をもとに作成しておりますが、正確性・信頼性・完全性を保証するものではありません。最終判断はご自身で行って頂きますよう、よろしくお願いいたします。